落語と琵琶と朗読

能『船弁慶』の朗読(琵琶)落語「船弁慶」を(なんと!)隅田川の屋形船で楽しむ会が6月1日(土)に行われます。

この会は、最初、落語「船弁慶」を屋形船で聞く会として、天籟(てんらい)能の会の協賛会員の特別コースのひとつとして企画されました。

ところがNHK、Eテレの「100分de名著」で琵琶の塩高和之さんにお会いして、能『船弁慶』を琵琶で語ったら面白いのではないか、しかも船の上ならなおすごいのではと、塩高さんにお願いして、急遽、この企画に入っていたくことになりました。

安田登奥津健太郎の朗読(謡)に塩高和之さんの琵琶が加わり、能『船弁慶』を朗読(謡も)します。

能『船弁慶』は、前半が源義経静御前との別離の悲哀を描き、後半が海上に出現する平家の怨霊たちと源義経、弁慶が戦うという、静と動の両方を楽しめる能の名作です。

それに対して、落語の「船弁慶」は、能『船弁慶』とはまったく違ってお笑い。能『船弁慶』では義経のお供をして幽霊たちと戦う弁慶ですが、落語の「弁慶はん」は、自分でお金を出さずに常にお供をしている人のこと。平家の亡霊とも戦わず、舟遊びをする。

完全に能をバカしてしています(笑)。

真剣とお笑い、これぞ能楽

しかし、これこそ本来の演能形態。

能楽の中のお笑いパートを受け持つのは狂言。そして狂言の中には、完全に能をパロディにして笑い飛ばしていく作品がいくつもあるのです。

真剣な「能」のあとには、お笑いの「狂言」をする

これは物事には必ず「表裏」があり、「陰陽」がある。どんな悲劇の中にも喜劇は隠され、そして笑いの中にも悲しみはあるということを表しています。

雄と雌のことを「つがい」といいます。「つがい」を漢字で書けば「番」。それを「組」でするからこその「番組」なのです。

さて、落語「船弁慶」は江戸の落語にはありません。上方落語の演目です。今回は、この企画のために関西より落語家・笑福亭笑利さんにお出ましいただいて「船弁慶」を演じていただきます。

船の上での能『船弁慶』の朗読は凄愴たるものになること間違いなし。それと最後に笑い飛ばす。めったいにない催しですので、ぜひお出ましください。

番組

《番組》

朗読 能『船弁慶』
安田登(能楽師ワキ方)、奥津健太郎(能楽師狂言方)
塩高和之(薩摩琵琶)
※加藤眞悟師(能楽師シテ方)もご乗船されるので、ひょっとしたら加藤師の謡も聴けるかも

落語「船弁慶」
笑福亭笑利

その他、天籟能の会の出演者、関係者もゲストとして乗船されるかもしれません。

日時・料金等

天ぷら食べ放題とお刺身、ドリンク飲み放題付き。天籟能の会出演者も乗船します。

料金:協賛金20,000円

開催日 6月1日(土) 17時半乗船、約2時間半
集合場所 吾妻橋乗船場(「浅草駅」近く)
※ 天籟能の会チケットは付いていません。
※ 屋形船を手配する都合上、直前のお申し込みは受けられない場合もあります。

協賛会員として公演パンフレットにお名前を印刷(匿名可)

協賛会員のお申し込み/お問合せ
天籟能の会事務局 noh@watowa.net
※天籟能ワークショップにご参加の際、お気軽に受付までお声がけください。

締め切り5月30日