Creative Commons CC-Zeroメトロポリタン美術館

***************

全盛を極めた平家一門の栄枯盛衰の物語を琵琶、そして語りで語る『平家幻想』を上演します。

本事業『平家幻想』は、アーツカウンシル東京の令和3年度「伝統芸能体験活動助成」の対象事業「伝統楽器にはじめてふれて一曲仕上げる!」の参加者による成果発表として行うものです。

日時:2022年6月25日(土)19時開演(約2時間)

場所:隣町珈琲(荏原中延、中延)

入場料:無料
 事前にお申込みいただければと存じます(飛び込み可)。tenraievent@yahoo.co.jp

出演者は、アーツカウンシル東京の[伝統芸能体験活動助成]で琵琶と笙を稽古をしたメンバーに、藤田晄聖(尺八)、安田登(能楽師)、そして流れの会のメンバーが加わります。

先生は琵琶・塩高和之師笙・カニササレアヤコ師です。今回は両先生は出演せずに見守ります。

お出ましいただければ幸甚です。

《番組》

【1】祇園精舎
「祇園精舎の鐘の声」からはじまる『平家物語』の有名な序。四人の琵琶の演奏でお届けします。

【2】今様と仏御前
後白河院は「今様」を好み、『梁塵秘抄』にそれをまとめました。今様とは最新流行の歌という意味。七五を四度繰り返す詩句を基本とする歌謡。笙で『越天楽』を奏し、それに合わせて歌い舞います。

【3】橋合戦
平家一門の横暴についに立った最初の皇族が以仁(もちひと)王です。以仁王は全国の源氏の蜂起の令旨を出しますが、しかしそれが平家に知られてしまい、平家に追われることになり、平等院までたどり着きました。

平等院の以仁王と、それを追う平家。宇治橋を挟んで向かいます。橋桁が取り外されているので平家は平等院に攻め入ることができない。平家の兵(つわもの)を矢を射る。

以仁王の側に「五智院の但馬」という長刀の名手がいました。平家は彼を目掛けて矢を射る。矢が上から来ればその下を潜り、下から来れば躍り越え、向かってくる矢は長刀で切って落とす。それより但馬は「矢切りの但馬」と呼ばれることになりました。

急流の宇治川を前にして、なかなか攻め入ることができない平家。そんなときに平家の若武者、足利忠綱の号令によって三百騎の馬が河に乗り入れ、見事に渡り切りました。ここは『平家物語』でも屈指の名分で、能『頼政』にその詞章が取られています。

【4】敦盛の最期
一ノ谷の合戦の敗戦で海に逃れた平氏。平家の公達、敦盛もそのひとりでした。波打ち際で彼を呼び留める源氏の武将、熊谷直実。戦うふたり。しかし敦盛は熊谷の敵ではありません。首を取ろうと兜を脱がせてみれば、我が子ほどの年齢の少年。助けようと思いましたが、後ろからは味方の兵がやって来ます。

泣く泣く敦盛の首を取った熊谷は、人を殺害する武将でいることに嫌気がさし、出家をします。そのときのことを謡った幸若舞が「人間五十年」で知られる『敦盛』です。

《休憩》

【5】千手と重衡
一ノ谷の合戦で生け捕られた平重衡(しげひら)。その人柄に引かれた源頼朝は、重衡を助けたいとすら思いました。しかし過失とはいえ、重衡は奈良に火をかけ、多くの仏塔、仏像を焼いた仏敵。南都の僧侶に渡さなければならない。そして、渡せば命はない。

そんな重衡を慰めようと、千手(せんじゅ)という女性を遣わしました。たったひと夜の千手と重衡の交歓が描かれます。琵琶の合奏や笙による「五常楽」をお楽しみください。

【6】経正(つねまさ)
一ノ谷の合戦では、敦盛の兄、経正も討たれて亡くなりました。琵琶の名手であった経正の菩提を弔うために、御室の御所では管弦講が開かれました。そこに現れた経正の亡霊。その姿は見えないながらも亡霊は琵琶を抱えて演奏をします。こちらも琵琶の合奏をお楽しみください。

【7】龍宮
源平最後の合戦であった壇ノ浦の合戦。そこで平氏の公達や女官たちが海に消えました。そして三種の神器のひとつである宝剣も海に消えたのです。

その宝剣を探すために遣わされた海女、老松。龍宮に行った彼女は、そこで海に消えた平家一門の人々が宴を開くさまを目撃します。

***************

《出演》五十音順

琵琶:塩高和之指導
金沢 霞
欣侘 東生
鈴木 晨平
本郷 智

笙:カニササレアヤコ指導
大島 淑夫
五味佐和子
佐藤 蕗子
名和 紀子

友情出演
藤田晄聖(尺八)
安田 登(謡)
足立真穂(謡:流れの会)
ドミニク・チェン(謡:流れの会)
西村明子(謡:流れの会)

**************

《台本》

当日の台本です(変更の可能性あり)

琵琶と笙の発表会‗公開用

 

助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京[伝統芸能体験活動助成]