《『銀河鉄道の夜』上演あらすじ》

あらすじ(第1幕)

《1幕 第1場.序章:ケンタウル祭、天気輪の柱)》

星祭り、ケンタウル祭の夜、みんなから仲間外れにされ、天気輪の丘で回想にふけっていた孤独な少年ジョバンニ。彼は、もうどこかに行ってしまいたいと思っていました。

《1幕 第2場.銀河ステーション》

ふと気づくと、ジョバンニは不思議な列車に乗っていて、隣には親友カムパネルラもいます。ふたりが乗った列車は、幻想宇宙空間を旅する銀河鉄道。ちょうど銀河ステーションを出発したところです。

《1幕 第3場.鳥を捕る男》

銀河鉄道の旅の途中に白い十字架が立っていました。列車に乗る人々は手を合わせて「ハルレヤ、ハルレヤ」と歌います。ふたりも慌ててお祈りをします。列車がやがて「白鳥の停車場」に着くころに乗客のひとりがふたりに声をかけます。「鳥を捕る男」です。ジョバンニとカムパネルラは、鳥と捕る男と楽しくお話をしています(鳥を捕る男はモーツアルトの『魔笛』のメロディで歌います)。

《1幕 第4場.ジョバンニの切符》

白鳥区のおしまい、アルビレオの観測所の水を測る機械を眺めていると、車掌が検札にやって来ます。カムパネルラはすぐに切符を出しますが、ジョバンニの切符は見つからない。ところが上着のポケットから紙片が出て来た。それを渡すと車掌も鳥を捕る男も驚きます。ジョバンニの切符は特別な切符だったのです。

《1幕 第5場.豪華客船の乗客たち(タイタニック)》

鳥を捕る男も車掌もいなくなった車内にリンゴの匂いが漂います。そこには水に濡れた青年と少年・少女がいました。彼らは豪華客船に乗って旅をしていたのですが、その船が氷山にぶつかって沈んでしまったのです。青年と少女がそのときのさまを語ると、銀河鉄道の中は沈もうとする客船の中になり、ジョバンニとカムパネルラもそのときの有様をともに体験するのです。

 

あらすじ(第2幕)

《2幕 第1場. 不思議な苹果(りんご)》

銀河鉄道の列車の中に不思議なリンゴを配る人が現れます。その人は灯台守。死の世界への道しるべをする灯台守です。電車の中にリンゴの香りが満ちます。そして灯台守は、ここから行くところについてお話をします。

《2幕 第2場.ふたご座とさそり座》

女の子と仲良さそうに話すカムパネルラ。それを見てジョバンニは悲しくなります。でも、歌を歌っているうちに元気になる。すると工兵の架橋演習で発破(ダイナマイト)を仕掛ける音がし、突然、盆踊りが始まります。ここら辺はふたご座とさそり座のあたり。女の子が「さそり座」の物語を語ります。

《2幕 第3場.青年たちとの別れ》

ケンタウルの村に着くと、客船に乗っていた青年や少年・少女も銀河鉄道を降りていきました。降りた人たちは十字架の前の天の川のなぎさにひざまずいています。そこにひとりの神々しい白いきものの人が手をのばしてこっちへ来ましたが、すぐに見えなくなりました。ただ黄金の円光をもった電気栗鼠が可愛い顔をのぞかせています。十字架も小さくなり、青年たちもどこにいるかわらかなくなりました。

《2幕 第4場.カムパネルラとの別れ》

天を見ると、天の川に大きな穴がありました。恐ろしい石炭袋です。ジョバンニはカムパネルラと一緒ならば、そんな穴だって怖くないと思いました。ふたりは、いつまでも一緒に、みんなの「さいわい」を探しに行こうと約束をします。天上の野原を見カムパネルラは、そこに自分のお母さんがいるのを見つけます。しかし、ジョバンニには見えません。「僕たち一緒に行こうね」とカムパネルラの方を見ると、カムパネルラはいなくなっていました。

《2幕 第5場.大団円》

ジョバンニが泣いていると黒い帽子の男が現れ、もうカムパネルラはいないと告げます。あらゆるひとのいちばんの幸福(さいわい)をさがし、みんなと一緒にそこに行ったときに、またカムパネルラに会えると言われます。「さあ、切符をしっかり持ちなさい。お前はもう夢の鉄道の中でなしに本当の世界の火やはげしい波の中を 大股にまっすぐに歩いて行かなければいけない」と。

するとそこにブルカニロという博士が登場します。そして、この銀河鉄道の旅は博士の実験であったことが明かされるのです。

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